ひでぼ～Z

ある背中に重い荷物を背負ってキツそうにしている愚直な人がいた。その背負っている荷物は、まるで刃物かガラスが知らないが、とても危険な荷物にみえた。愚直な人に尋ねた。いつから背負っているのかと。すると愚直な人は言った。もう何十年もこの重い危険な荷物を背負っている…と。そしてこんな荷物を背負うことになった話をしてくれた。それは…忘れるくらい昔々の時代にさかのぼる…愚直な人は、争いを好まない平和をこよなく愛していた。でもある日、北から賢い人が突然やってきた。争いを好まない愚直な人を言葉巧みに、または脅して、愚直な人からいろんなものを取り上げた。それでも争いを好まない愚直な人は、家族のために我慢して、それらを受け止めた。賢い人は、何年も愚直な人からいろんなものを巻き上げては、無理難題を押し付けた。そして愚直な人に「お前も自分たちと同じ賢い人にならないか？そうしたらもっと豊かになるぞ！」と言って、愚直な人を賢い人になるように“教育”した。そして愚直な人は、賢い人になれると信じていた。ある日のこと賢い人は、突然、西の方に住む大きな人と喧嘩を始めた。賢い人は、大きな人にも勝てると息巻
いて、休息をとる大きな人に奇襲をかけたのだった。当然賢い人は、愚直な人にもいっしょになって大きな人と喧嘩するように言ってきた。大きな人は、とてもコワいものだと教えられたのだった。喧嘩は、やがて愚直な人も巻き込んでいき、それはとても長く続いた。愚直な人は、賢い人を信じ、大きな人と喧嘩した。しかし大きな人は、大きなカラダと力で愚直な人たちを蹴散らした。そんな長く続いた大喧嘩だったが、どうみても勝ち目のない喧嘩だった。それでもボロボロになり傷つい愚直な人は、賢い人を信じて戦い続けた。ある日、大きなカラダと力の前でもう戦えなくなった愚直な人は、とうとう白旗を掲げた。もうどいしようもない状態だった。それからしばらくして、大きな人は、大きな光と衝撃で賢い人に“勝ち目のなさ”を見せつけた。賢い人も白旗を掲げた。それからは、愚直な人は、賢い人から大きな人へ、その身柄を渡された。生きるために愚直な人は、それを受け入れるしかなかった。大きな人は、愚直な人に自分たちの戦いの道具が入った危険な荷物を背負わせた。

…

それから何十年たっただろうか…

重く危険な荷物を背負わされた愚直な人は、その苦しさからか、賢い人のところへ、仲間として戻りたいと思うようになった。そして訴えた。

ある日、

愚直な人の身柄は、賢い人のところへ仲間として戻ることが許された。

だけど

大きな人は、その危険な荷物をそのままにすることを条件としての話だった。


愚直な人の知らないところで大きな人と賢い人は、すでに話をつけていたのだった。

その危険な荷物を持つことで、大きな人は、別に対立していた“北の大きな人”への牽制になるからだった。


けっきょく、

あれから何十年…


愚直な人の背中には、
今でも重く危険な荷物は、背負わされているのであった…。



そう、誰も、重く危険な荷物をわかって、代わりに背負う人などいるはずもなかったのだった。。。




（ひでぼ〜Z）